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甘辛問答無味感想 vol.10
甘辛問答無味感想 vol.10

ヌーヴォー同士の異文化コラボ

2022.11.09

個人的な体験話で恐縮ですが、


結婚した時に一番驚いたこと、

それがお雑煮でした。

お餅が丸いとか四角いとかいう話ではなく、


妻の実家のお雑煮には、

あんころ餅が入っていたのです。

恐る恐る食べてみたら、

甘くなくてしょっぱいので、

これまたびっくり。


あんはあんでも塩あんだったのです。

私には忘れられない、

ちょっとした未知との遭遇でした。







ところで、歴史を振り返ると、


甘いあんこが誕生する前に、

塩あんの時代があったそうです。

詳しいことは分かりませんが、

安土桃山時代より前の頃です。

砂糖のような甘みを

入手しにくい時代ですからね。

僧侶が肉食の代わりに食べていた

という話もあります。

いずれにしろ、小豆は、


大昔から日本人の暮らしに

欠かせない存在だった、


ということですね。





豆は世界中どこに行っても主要な食品です。

僧侶が肉食の代わりにするほど

栄養豊富だし、

どんな土地でも栽培できることが、

大きなメリットです。


多くの国では、豆を煮て、

味付けして、そのまま食べますが、

東アジアでは、豆を煮て、潰して、

濾(こ)したり、発酵させたりして、

独自の食文化を築き上げてきました。

大豆の加工品は、

今も日本人の食生活の基盤ですね。







小豆から作るあんこも、

高度な職人技によって、洗練されてきた

食品のひとつです。

あんこに関する資料を読むと、

あんこづくりが、気象や経験や

感性に左右されることがわかります。

その中で、多くの職人さんが、

「小豆と会話する」というようなことを

語っています。

会話するという擬人化表現に、

自然の作物に対する

リスペクトが感じ取れます。







あんこ作りが、

日本で独自の発展を遂げた背景に、

湿度の高い気候が影響している

という話を聞いたことがあります。

洋菓子であんこに相当するものといえば、

クリームですが、

牛乳から作られるクリームは

油脂分が豊富。

乾燥しやすいヨーロッパでは、


この油脂分がクリームの

なめらかさを保ちます。

一方で、あんこは油脂分が少ないので、

放っておくと乾燥してしまいます。

でも、日本は湿度が高いので、


あんこのおいしさが保たれやすい

というわけです。

あんこの美味しさは、日本の自然環境と

職人のコラボが生み出したものなのですね。







ハロウィンの喧騒が静まり、

ヌーヴォ―ワインが話題になる季節ですが、

そろそろ小豆の新物が店頭に並び、

多くの和菓子屋さんが、

新物の小豆であんこを作り始める頃です。

今年の小豆の出来はどうなのでしょうか?







さて、

塩あんとの衝撃の出会いから

30年以上経ちました。

今になって思うのは、食べるということが、

私と妻、それぞれの家庭を

結びつける始まりだった、という想いです。

ヌーヴォ―ワインと

新物のあんことのコラボ。


これも、なかなかいけそうな気がします。