きれいな竹色、素朴な味わい。
すべて職人のかけた手間から
生まれています。

きれいな竹色の和菓子。素材と自然の色を生かし、添加物は一切入っていない。その素朴な味わいには懐かしさを覚える。埼玉県熊谷の郷土菓子の「五家宝(ごかぼう)」。由来は古く諸説あるが、今でも地元で親しまれている。
きれいな竹色の和菓子。素材と自然の色を生かし、添加物は一切入っていない。その素朴な味わいには懐かしさを覚える。埼玉県熊谷の郷土菓子の「五家宝(ごかぼう)」。由来は古く諸説あるが、今でも地元で親しまれている。

本来のきなこはこの竹色の青大豆がはじまりであるが、一般的な大豆より高価なことなどもあり、多くの和菓子屋の五家宝は黄色いきなこを使ったものが主流となっている。
本来のきなこはこの竹色の青大豆がはじまりであるが、一般的な大豆より高価なことなどもあり、多くの和菓子屋の五家宝は黄色いきなこを使ったものが主流となっている。

味わい深く感じる青大豆のきなこ。現在、この青大豆のきなこの皮と、中身のたねを自家製でつくっているお店は少ないという。
味わい深く感じる青大豆のきなこ。現在、この青大豆のきなこの皮と、中身のたねを自家製でつくっているお店は少ないという。

江戸末期創業の老舗「たねに」さんは、すべて自家製で五家宝だけをつくっているという希少な和菓子屋だ。五家宝のたねを和菓子屋に卸すたね屋からはじまったが、機械化が進み本来の味が失われることに危機感を感じた先代が、自分たちでつくることを決意。今は5代目となった内ヶ嶋さんが、一から手づくりで、その変わらぬ想いと技を受け継いでいる。
江戸末期創業の老舗「たねに」さんは、すべて自家製で五家宝だけをつくっているという希少な和菓子屋だ。五家宝のたねを和菓子屋に卸すたね屋からはじまったが、機械化が進み本来の味が失われることに危機感を感じた先代が、自分たちでつくることを決意。今は5代目となった内ヶ嶋さんが、一から手づくりで、その変わらぬ想いと技を受け継いでいる。

まずは中身のたねづくり。粉にした餅米から餅にし乾燥して煎る… など3日ほどの工程を経たたねを糖蜜とよく絡める。季節によって糖蜜のバランスを加減することで蜜の吸い方が異なり、程よい食感が残る。たね屋だっただけに、味と食感に妥協は無い。
まずは中身のたねづくり。粉にした餅米から餅にし乾燥して煎る… など3日ほどの工程を経たたねを糖蜜とよく絡める。季節によって糖蜜のバランスを加減することで蜜の吸い方が異なり、程よい食感が残る。たね屋だっただけに、味と食感に妥協は無い。

皮はこだわりの山形県産青大豆のきなこと糖蜜と水飴。きれいな自然の竹色で、工場内にはその香りが漂っている。普通のきなことの違いは、甘みが強いことだとか。
皮はこだわりの山形県産青大豆のきなこと糖蜜と水飴。きれいな自然の竹色で、工場内にはその香りが漂っている。普通のきなことの違いは、甘みが強いことだとか。

大きなたねを皮で包んだゴロンとしたかたまりを、杉板で均等に伸ばしていく。この作業を「撚る(よる)」という。微妙な手の感覚を頼りに、大きな作業台を行ったり来たり。台の幅いっぱいの長い1本になる。
大きなたねを皮で包んだゴロンとしたかたまりを、杉板で均等に伸ばしていく。この作業を「撚る(よる)」という。微妙な手の感覚を頼りに、大きな作業台を行ったり来たり。台の幅いっぱいの長い1本になる。

それを「断つ」のだが、刃にたねがくっつきやすいため、意外にも撚る作業より難しいのだそう。ひとつひとつの手間を経て、五家宝が完成。
それを「断つ」のだが、刃にたねがくっつきやすいため、意外にも撚る作業より難しいのだそう。ひとつひとつの手間を経て、五家宝が完成。

口にした時の青大豆の香り高さと、もちっとした粘りと軽い食感がおもしろい。ほのかな甘味がとてもやさしく、1本食べるともう一度味を確かめたくなる。そして2本目でじわじわとおいしさを噛みしめる。また食べたいと思わせる郷土の味。
口にした時の青大豆の香り高さと、もちっとした粘りと軽い食感がおもしろい。ほのかな甘味がとてもやさしく、1本食べるともう一度味を確かめたくなる。そして2本目でじわじわとおいしさを噛みしめる。また食べたいと思わせる郷土の味。

今では食べやすい細巻きが一般的だが、原型は太巻きだった。たねにさんでは、太巻きもつくっている。たねが大きい分だけ甘みの感じ方も異なるので、どちらも楽しんでみてほしい。日持ちはするがきなこの風味をしっかり感じるつくりたてをぜひ食べてみてほしい。
今では食べやすい細巻きが一般的だが、原型は太巻きだった。たねにさんでは、太巻きもつくっている。たねが大きい分だけ甘みの感じ方も異なるので、どちらも楽しんでみてほしい。日持ちはするがきなこの風味をしっかり感じるつくりたてをぜひ食べてみてほしい。

五家宝づくりは、とてもシンプル。そしてすべてに人の手間がかかっている。その手間の分だけの何度も食べたくなる味わいがある。
たった二人でつくっているため、生産できる量は限られるが、この味が変わらず続いていることが嬉しいと思う。
五家宝づくりは、とてもシンプル。そしてすべてに人の手間がかかっている。その手間の分だけの何度も食べたくなる味わいがある。
たった二人でつくっているため、生産できる量は限られるが、この味が変わらず続いていることが嬉しいと思う。
