米粉づくりから始まる140年変わらぬ製法。
お茶にもコーヒーにも合う
素朴な味わいは、唯一無二!

素朴なお餅を想像しながら口に入れた。「え、なに?やさしい…」。餅とは異なる程よい歯応えの食感と、口どけの良いこしあん。これが唯一無二のこの饅頭菓子との出逢い。

佐賀市のちょうど真ん中に位置する大和町は、佐賀市民にも福岡市民にも身近なお出かけ先。なかでも川上峡は、水遊びをしたり上流の温泉で湯治をしたり、人気の保養地として昔から賑わっていたのだとか。

「初代が、『川上峡を訪れる人々に喜んでもらいたい』と売り出したのがはじまりです」と、白玉饅頭の由緒を教えてくれたのは、6代目主人の吉村正則さんと陽子さんご夫婦。もともとこの地域でよく作られていた饅頭菓子を雛形に、明治15年(1882年)、米と小豆と砂糖だけで一口サイズの饅頭を考案、観光客に販売した。以来140年、今も同じ製法で真っ白つやつやの川上峡名物を作り続けている。

「吉野屋で饅頭作りを始めて26年になりますが、いまだに日々勉強です」と話す正則さんの前職は和菓子とは縁もゆかりもない会社員。東京の職場で知り合った陽子さんの実家が100年以上続く吉野屋だったため、結婚と同時に和菓子職人としての人生がスタートした。今の目標は「200年続く和菓子」として、白玉饅頭を継承していくこと。そのためには手間隙を一切惜しまない。

毎朝、地元の契約農家から仕入れた米を精米し、石臼でついて粉にする。その後は、先代から受け継いだ微妙な勘どころを頼りに米粉をこねて蒸し上げ、ほどよい弾力になるまでつく。それからもう一度こねた後、特製こしあんを包んで丸めると、最後に再び蒸して完成だ。
たった一種類の饅頭だけを、丁寧に丁寧にこだわりの製法で作り続けることは、容易なことではない。しかも、熟練職人だった先代をもってしても「本当に納得のいく饅頭ができるのは年に数回」と言わせるくらい、米の状態やその日の天候・湿度などに左右される繊細な菓子だ。それゆえ、買った当日しか味わえない生菓子という位置付けだったが、嬉しいことに15年前に導入した瞬間冷凍技術によって配送や保存が可能に!

常温解凍が基本。陽子さんのおすすめは
「炊飯器の蓋の上での、じんわり解凍」
だそう。上品で軽やかな味わいの饅頭、
冷凍庫に常備しておきたくなる!
常温解凍が基本。陽子さんの
おすすめは「炊飯器の蓋の上
での、じんわり解凍」だそう。
上品で軽やかな味わいの饅頭、
冷凍庫に常備しておきたくなる!

CAFEのコーヒー豆は饅頭に合う味を厳選、佐賀の陶磁器を使うなど器からもこだわりが感じられ、期待しかない。佐賀に行くことがあれば、ぜひお店で出来立ても楽しんでもらいたい。
